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オルメカの巨石人頭像 メソアメリカ文明とマヤ文明との繋がりとは?

Last updated on 2020年7月1日

アメリカ大陸のメキシコ湾岸地帯で、紀元前1200年から400年ころまで存在したとされている「オルメカ文明」

1862年頃、トレス・サポーテス付近で巨大な石で作られた頭の石像が発見されました。

アメリカ本土は1492年にかのクリストファー・コロンブスが発見するまで、西欧諸国にとっては未踏の地でした。

もっとも、このコロンブスも実際には東のはてにあると信じられていた「黄金の国」を探していたとする説もありますが、西欧の入植以前のアメリカ大陸は独自の文明が存在していたのです。

コロンブスが辿り着いた頃には、多くの原住民であったインディアンが主な原住民であったのですが、いわばインディアン達の祖先であった存在。

これらの遺物を残したのは、オルメカ文明からメソアメリカ文明と呼ばれる先古典期時代の文明だったのです。

オルメカ文明が残した巨大な人頭石

アメリカ大陸は西欧諸国が入植してきた歴史によって、長い間その古代文明についての研究が遅れている地域でもありますが、そんな中でも1896年に生まれた考古学者マシュー・スターリングなどによって徐々に古代の遺跡や文明の痕跡が発見、研究されてきました。

そんな中で発見されたのがメキシコ湾岸一帯に拡がっていたオルメカ文明と呼ばれる痕跡です。

さらに、この地域での調査が進んだ結果、合計300以上に渡る造形物が発見されました。

この中でも特に異様であった物が人間の頭を象った石像である「巨大な人頭石」だったのです。

発掘が進むに連れて、この巨大な石の頭部像は合計で17個ほど見つかり、もはやヨーロッパなどに見られる巨石群などと同じような意味合いのある同一の特徴から一定水準の文明によって作られたものであるという結論が出されました。また、発見された頭部の像は全て男性を模しているものであったことから、古代メソアメリカ文明の権力者を象っているという説が一般的になっています。

オルメカの人頭石は小さな物でも高さ約1.5メートル、重さは推定4.8トンにもなり、最も大きなものでは高さ約3.4メートル、重さは推定50トンにもなると言われています。

この巨大な頭の石は考古学的にはオルメカ文明の物であると言われている一方で、オーパーツの可能性も指摘されている存在なのです。

オルメカの人頭石はヘルメットを被った宇宙人だった?

オルメカの巨大人頭石が発見された当初、一部ではオーパーツとして取り上げられることもありました。

発見された当時、この像の特徴的なポイントであったヘルメットの様な頭部からいわゆる宇宙服のヘルメットのように解釈されたことや、人頭像の表情が不気味であったことも相まって「人間ではない何か」を象った物であることも理由になっていました。

さらに、この像自体が非常に巨大であったことや、オルメカ文明の技術力の研究なども不明なところが多かったことも要因になったのかも知れません。

しかし、実際にこのオルメカの巨石人頭像には製造工程や運搬については疑問点が多いことも事実です。

巨石遺構特有の運搬問題

ギザの大ピラミッドや大きな古代建築物に共通するのが、運搬や制作するための実質的な技術問題です。

このオルメカの巨石人頭像も例外ではなく、これらが最も多く発見された地域はメキシコのサン・ロレンソという場所でした。

しかし、これらの像の主な材料になった玄武岩は、元来オルメカ文明があったとされる地域になかったのです。

この事からトゥストラ山脈と呼ばれる小規模な火山地帯のセロ・サンテペテクの山間部にある、斜面から約60キロ~100キロの距離を移動させたというのが、発見された位置関係からの推測になりました。しかも、該当地域へこの玄武岩を運ぶためには、川を利用した可能性もあると言われています。

オルメカ文明の技術力では25トンから50トンの石を運ぶことが出来たと言われていますが、この根拠についてもハッキリとしたものが確立されていません。

最初に紹介したように、オルメカ文明は紀元前1200年から400年ほどに栄えたと言われている文明でした。

ギザの大ピラミッドなどにも言えることですが、こういった古代文明において巨石の運搬技術は最大の謎の1つなのです。

さいごに

メキシコの周辺の古代文明として、最も有名なものと言えばマヤ文明がありますね。

マヤ文明は紀元前2000年頃からスペインに侵略を受けて完全に消滅した1697年まで残り続けたものであり、現在でも多くの重要な遺跡が残っています。

オルメカ文明はメソアメリカ文明の母胎となったという説もありますが、オルメカ文明を単一の文明と捉える考古学者もあり、同時代でのマヤ文明への繋がりについては様々な説がありますが、巨大な石を使えたという共通点はあり、これらの技術がアメリカ、メキシコなどの文明に拡がっていったことはほぼ確実だとも言われています。

また、オルメカの人頭像には当時のシャーマニズムとの関連性なども指摘されており、神秘性の高い遺跡であることは間違いないでしょう。

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